頚椎症性脊髄症(頚髄症)
「頚椎症」とはひらたくいえば頚椎・首の骨が悪くなってきたこと、「脊髄症」とは神経の太い幹が起こす症状(手足の運動障害や悪化すれば排尿・排便困難)のことをいいます。
頚椎症と頚髄症、一字違うだけで全然違いますね。
よく似た言葉に頚椎症性神経根症という脊髄から発生した細い枝だけの病気がありますが、こちらは特に若い人の場合90%以上が自然に軽快したりリハビリ投薬等で症状が軽快します。(職業上VDT作業やカーテン取り付け・自動車修理工のかたなど特定肢位を続けるかただと繰り返すこともあるようです)
脊髄症の場合、症状がゆっくり進む場合にはあまり自覚症状として痺れしかないので患者さん本人が気がつかなかったり、加齢に伴い徐々に悪化することが多く、また日本人に多い後縦靱帯骨化症が原因になっている場合ではきわめてゆっくり進行するため気づかれたときにはかなり重症ということが多々あります。
階段を下りる時に膝ががくがくして降りにくい・・でも力が入らないわけじゃないし・・とか
新聞のページめくりがどうもやり難いんだが・・
というかたは要注意です。
このような患者さんは転倒などで一気に進行することがあり、残念ながら重症な麻痺で発見されたかたは手術など根本治療を行っても麻痺が治ることはありません。
このため進行例では悪化防止のための手術が適応になります。
いずれにせよいったん生じた麻痺は改善することはないので自己判断は非常に危険です。また脳梗塞との鑑別も重要になります。
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骨棘(椎間板)が脊髄を圧迫している状態

後縦靱帯骨化症
水色部分(後縦靱帯)が固い骨のような組織へと成長し、脊髄を圧迫している |