脊椎側弯症
側弯症は、脊柱の側方弯曲と、多くはねじれをともなう変形です。
美容的な意味合いだけではなく、高度に進行した場合には肋骨の変形が強くなり肺や心臓を圧迫して、心肺機能障害をおこします。
また若いころには症状がなくともある一定以上となると成人期以降に変形は進行し、変形・いたみのみならず神経症状を引き起こすこともあります。
原因には先天性、麻痺性、筋性などがありますが、特に原因がないものを特発性脊柱側弯症と呼び、側弯症のうちの7~8割です。思春期に発生することがもっとも多く、80パーセントが女性です。
外見上の変形が一般の方にわかるようであればかなり側弯は進んでいると考えられます。両膝を伸ばした状態で床に手をつくように前屈して、両肩の高さの左右差や腰の高さの左右差などがみられれば側弯症を疑うべきです。ただし側弯の部位によってはこれらの兆候がみられない場合もありますので、自己判断は危険です。
側弯の角度やタイプ・場所により装具(コルセットの大掛かりなもの)や手術が適応となりますが、一部の代替医療として側弯が治るという整体等は何の根拠もありません。
特発性側弯症はほとんどが多感な少女時代に起きるため、「なぜ自分だけが」という思いから治療を続けられずに脱落してしまう子供さんもみえます。このようなかたが成人になって矯正手術などが必要になった場合には非常に大掛かりで大変な手術となってしまいます。実際、「ここまで治療が遅れなければもっと小さくて負担の少ない手術で治すことが出来たのに」というかたも勤務医時代にはよく見かけました。
側弯症の患者さんが多数の病院であれば、患者さん本人も「自分だけではない」と思えますし治療からドロップアウトする危険性は低くなりますから、側弯症を中心とした脊柱変形疾患の治療実績が多い専門病院への受診を勧めます。
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